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鬼ごっ子

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星に願いを

一番書きやすい5期キタネコw
ほのぼのが書けない(´・ω・`)やっぱりどこか暗い…
本編終了後の27話に出てきたお祭りの日です!少し過去捏造入ってます

拍手[10回]





どうして戦うのよ、このお人好し。見捨てればいいじゃない。なんで助けようとするのよ。……お願いだから、無理しないでよ。
「さあ、聖なる炎に願うのじゃ!」
今年のお祭りでは短冊に願いを書かないでおこう。私の願いはきっと叶わない。でも、願わずにはいられない。神さまどうか、どうか今年こそ……。
『鬼太郎が、危険な目に遭いませんように』


星に願いを


「ねこ娘は何を願ったんだい?」
「……えっと」
燃え盛る炎を見上げて黄昏ていた私は、鬼太郎に話しかけられて顔を逸らした。恥ずかしかったからじゃない。気まずかったからだ。右手に隠した短冊を鬼太郎に見えないように握りつぶした。
「キタロー!ねえねえ、聞いておくれよ!」
アマビエが私を押しのけて鬼太郎の腕をとった。座ろうとしてた鬼太郎はバランスを崩して、小さくおっと、と声を漏らすが、倒れはしなかった。
「なんだい?」
振り返って柔らかく笑った。私はそのタイミングでその場から離れた。いつもならうるさ鬼太郎に纏わり付くアマビエに食らいついてケンカになるけど、今はそのアマビエのおたんばさがありがたく思った。これ以上あの炎の前に、鬼太郎の隣にいたら、去年のことを色々思い出してきっと泣いてしまう。
静かに燃え上がる炎が綺麗で、自然と鬼太郎の隣に長時間いられるあのお祭りは、毎年の密かな楽しみだった。去年までは……。
去年のお祭りはねずみ男のバカのせいで散々になった。ねずみ男が黄泉の霊石を盗み出し、ねずみ男を代わりに鬼太郎が無間地獄に落とされそうになったり。最終的に、期限の時間直前にねずみ男本人の手で霊石が返されたお陰で、鬼太郎もねずみ男も地獄に落とされることは無かったのだけれども。
ねずみ男なんか、地獄に落ちてればいいと何度思ったことか。邪魅のせいで鬼太郎も大怪我をして、フラフラになりながらも私たちを守ってくれて……。それでもアイツは反省しない。あの日以降しばらくは悪事は働いてなかったみたいだけど、結局悪いことをする。アイツのせいで悪い妖怪が復活したり、妖怪の逆鱗に触れたり。ねずみ男なんていなくていいのに、鬼太郎はアイツを友達だなんて言う。
「だから調子に乗るのよ!」
思わず口に出して足元の小石を蹴り飛ばした。モヤモヤしたまま歩き、いつの間にかゲゲゲの森の奥まで来ていた。ふと、自分は森の奥の秘湖に向かっていることに気づく。
私しか知らない、ゲゲゲの森の奥の奥の、透き通る青が綺麗な湖。子供の頃見つけて以来、一人になりたい時に自然と足が向いてしまう場所。不思議なことに、別に悩んでない時にその湖を探しても見つからない。本来ゲゲゲの森は迷いの森だから、空間が歪んでいてもおかしくはない。
「お祭りの日に一人になりたいなんて……」
もう1度小石を蹴って嘲笑した。次いでため息も漏れる。少し立ち止まって足先で小石を弄んだ後、すうっと息を吸って走り出した。
一分もしないうちにあの湖に辿り着く。
「やっぱ一人かぁ」
ため息と同時に呟いて、湖畔に座り込んだ。もう夜であたりも真っ暗なのに、湖は輝くように澄んだ青を湛えている。右手をそっと開いた。握りしめすぎてくしゃくしゃになった短冊が風に煽られて落ちた。私はあえてそれを拾わず、指先でつついた。
自分で握りつぶした願い。どうせ叶わないなら、最初から願わない方がいい。そう思って、今年は何も書かないでおこうと思っていたのに、やっぱり書いてしまった。願わずにはいられなかった。だって、いつも思っていたことだから……。
「ねこ娘?」
「にゃ!?」
急に呼びかけられて思わず短冊をまた握りしめた。振り返ると、木の陰から鬼太郎が顔を出した。
「き、鬼太郎!? なんで!?」
ここは私以外誰も知らないはずじゃ。
「なんでって……」
私は失念していた。人間界に頻繁に出入りしている私と違って、鬼太郎はいつもゲゲゲの森にいる。言わばこの森の主なのだ。鬼太郎が森のことを知らないはずがない。
「キミは前にも、ここで泣いていただろ?」
一体いつ見られていたんだろう。
立ち上がりながらショックで足元がふらつく。あまりに縁にいたせいで、バランスを崩した。とっさに鬼太郎に手を伸ばす。
「ねこ娘!」
陰から飛び出した鬼太郎はすぐ私の手を掴んだ。けれど、私の方が体は大きいし、鬼太郎も勢い付きすぎて一緒に倒れた。
湖に浸かる瞬間、鬼太郎がちゃんちゃんこを広げて私を包み込む。視界が奪われる直前、シワだらけの短冊が風にさらわれるのと、ちゃんちゃんこを掴んで湖に落ちる鬼太郎が見えた。球体のちゃんちゃんこの中で屈みこみながら、微かにジュウ……と肉の焼けるような音を聞いた。
「ねこ娘、大丈夫?」
ちゃんちゃんこを元に戻して、開口一番に鬼太郎はそう言った。
「バカ!」
私は鬼太郎の顔を叩いた。鬼太郎は呆然として右頬を抑える。鬼太郎はなんで叩かれたのかわかってないんだ。
「……なんでキミが泣いているんだい? さっきも急にいなくなっちゃうし」
「バカ! 鬼太郎のバカ! バカバカバカ!!」
私はわんわん泣き喚きながら鬼太郎の胸をドンドンと叩いた。肉の焦げた匂いが鼻につく。
「鬼太郎が! 鬼太郎が無茶するからに決まってるじゃない!」
この湖はとても綺麗だけれど、決して水に触れてはいけない。酸の湖だから。動物も妖怪も、何でも溶かしてしまうほど強い酸の湖。
そういえば、それを教えてくれたのは誰だったか。子供の頃仲良しだった猫が死んじゃって、悲しくて宛もなく森を歩いていたらこの湖を見つけた。どこまでも澄んだ青がとても綺麗で、思わず手を伸ばした時、呼び止められた。
『触っちゃいけないよ。その水は何でも溶かしちゃうんだ』
朧気な記憶の中で揺れる、甘栗色の髪。ああそうだ、あれが……。
「僕がなにか悪いことをしたなら謝るよ。ごめん。だからもう泣かないでくれよ」
眉を下げて私の顔を覗き込む。自分のことなど何ともないかのように振る舞う鬼太郎に、一旦は治りかけた涙がまた溢れてくる。鋭い化け猫の嗅覚が嗅ぎとる焼けた肉の臭い、崩れた視界の中で白い煙を上げ続ける鬼太郎の下半身が、私の涙腺をここぞとばかりに刺激する。
「……ねこ娘」
鬼太郎は少し困ったような声で私を呼んだけど、それ以上何も話しかけてこなかった。
きっとまだ、私がなんで泣いているかわかってないんだ。
そんなことを考えながら、私は眠りに落ちていった。


腕の中で泣き疲れて眠ってしまったねこ娘を近くの木にもたれかからせて、僕もその隣に座った。明日には治っているだろうが、まだ足がジンジンと痛む。こりゃしばらくはねこ娘が顔を合わせてくれないなと、ひとり頭を掻いた。
僕にとってはどうってことのない小さな傷さえも、キミは大粒の涙を流して自分のことのように泣く。そんなキミの優しさが嬉しくもあり、また心配でもある。優しすぎるのは時に自身の身を滅ぼすことを、ねこ娘はまだ知らない。
僕は小さく息を吐いて、ポケットからピンクの短冊を取り出した。ねこ娘を庇った時に飛んできた、祭りの火に焼べる願いを込めた短冊。ねこ娘の字で『鬼太郎が、危険な目に遭いませんように』と書かれている。参ったな、とまた頭を掻いた。
ねこ娘は、願いが叶わなかったから泣いていたのか。だけど、僕はキミの願いは叶えてあげられない。
誰にも見られないようにひっそりと書いて真っ先に焼べた僕の短冊。それに書いた願いは、日本のリーダーの荷を持つ僕には弱音とも取れる、ある意味目標のようなもの。
『みんなを守れますように』
僕の願いを叶えるとねこ娘の願いは叶わない。僕が無茶をせずにはみんなを守ることはできない。
「ごめんね、ねこ娘」
大事なキミの願いを無下にして泣かせてまで、僕は自分の願いを叶えたい。みんなに無事でいてほしい。
「僕はわがままだね。キミを泣かせておいて、泣かないでくれだなんて」
森を吹き抜けた風にねこ娘の短冊を預け、そっと赤色の髪を撫でた。
でも、どうか……。
「神様なんて、信じたことなかったなぁ」
もし神様がいるのなら、どうか、僕ら二人の願いを叶えてください。
無数の流れ星が飛び交う空の下、今宵が流星群の夜とは知らぬ子鬼と子猫が、鎮守の森の木陰で仲良く寄り添って眠っていた。
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